木々と黒猫たちに囲まれていた頃

可愛げのない黒猫の仔猫プクがうちの猫となり、その兄猫ネクがうちに2週間滞在したのちにコロと入れ替わりに(コロは犬小屋から退き台所犬となっていた。)犬小屋で暮らす猫となった。

その頃はわたしの家の周辺はプクのお母さん猫のクロメ、おじさん猫のクロオそして犬小屋で暮らすネク、ちゃちこのお兄さん猫白の長毛カールことブサがファミリーとして家の外で暮らしていた。

群れのボスはカール。ちゃちこの双子のお兄さんながら毛色、顔だち、性格ともども全く似ていなかった。プクの妹SPがその後に加わる。

そしてこのSPが仔猫の頃に猫ボランティアの人たちを頼って、手術を施してもらったのでファミリーがこれ以上の猫員になることはなくなった。

ファミリー全猫が健在だった頃、うちの周辺、家から盲学校のグラウンドに書けては紅葉、、枇杷、柘榴の木々と茗荷に満ち、竹林の秘密基地も健在であった。

在りし日のネク、ただ1枚のネクの写真この頃はフィルム写真なのでネガがどこにあるか分からない。ネクの後ろの枇杷の若木は今は大木。

盲学校のグラウンドからの道は小道で周辺の木々と草野に咲く花で覆われていた。わたしはこの頃、近くの保育園でアルバイトしていて帰ってくるとこの小道からカール筆頭とする。クロメ、クロオそしてチビだったSPが出迎えてくれて犬小屋からはネクが出迎えてくれた。

カールはわたしに慣れて家に入ってくれたが、クロメ、クロオ、ネクは家に来ようとはせずに外で暮らす、わたしの愛した秘密基地で猫会議を開いていたに違いないのだ。

カールは頓死し、ネクもとなりのうちで急死してしまった。わたしは日々嘆き、そして秘密基地を宅地かするため、小道を自動車道路にしてつまりは道幅増加のため木々を切り倒し、小竹も茗荷も星の花も伐採すると??!!!

仕方ないよ。わたしの地所じゃないんだから、でも悲しむよ。わたしの家が緑の風の吹く木々と花々に囲まれた家でなくなる。秘密基地も宅地造成地となる。

あの頃は良かった!まだ息子は大学生で家にいた。クロメ、クロオも老衰で亡くなり今や一族はプクとSPしか残っていない。ちゃちこすらわたしを置いて逝ってしまったのだ。(ランプだけは息子が鎌ケ谷から拾ってきた他猫。)もうあの小道は自動車が何台も置いてある舗装道路に姿を変え、秘密基地は立ち入り禁止の造成地だ。

わたしは想い出収集癖は全くない。それどころか、思いで作りルンルン♬と言って想い出収集に励むヤツというのを軽蔑すらしているところがあった。想い出に生きるようになったらおしまいさ!年寄りの言うことさ!

だが、わたしだって想い出に生きるくらい年を取ってきたのだ。想い出だけに生きるのはあと何10年後くらいにとっといて、、。

過去を懐かしみつつも今を生きるんだわたし。光に溢れるわたしの家はまだ健在だ。秘密基地と小道はなくなっても盲学校のグラウンドの桜も紫陽花も元気じゃないか。

それにわたしにはSPを捕獲して家の猫にするというミッションがまだある。

デジカメ壊れ中ですが、SPは元気です。